アシリ レラの生い立ち 

自然の中で学んだアイヌの生活の知恵


 春、芽がふき始め、綿帽子をかぶったネコヤナギが一番先に春を告げ、ふきのとうが顔を出す。アイヌワサビと言われるエゾワサビは、春一番の香りとして食卓にのぼる。刺身や御飯にのせて醤油、味噌味はなんとも言えぬ味で、食欲をそそる。ふきのとうを摘んできて、油を引いて熱した鍋に、きざんだふきのとうを入れ、手早くかきまぜ、味噌と砂糖少々入れて味をつける。香りがたちこめる。

 長い冬を超えて迎える春一番の便りになるギョウジャニンニクと和名で言われている、いわゆるアイヌネギの方が分る人が多いと聞くが、本名はプクサ。臭い草の意で、においがするのでプクサと言われた。

 現在、流木止めだと自慢げに言う『開発』の作ったダムがアイヌコタンの聖地にある。治水にも役立たぬダム湖の右岸の山は、そのプクサや山菜、松茸の宝庫である。その山も、思うように山菜を採ることが出来なくなっている。ダム上流支川の砂防ダムは、堆砂100%、ダムの上(土の上)から川は滝のように流れ落ちていて、砂防ダムの、堆砂の上を歩いて次の山に登れる。友人と、これがダムなの、なんの役にもたってないね、と話しながら上流に登る。四月〜五月の若蕗は美味しいから、山菜も多い。  

 アッ、熊の足あとがある、ふんもある、まだ温かい。近くにいる気配を感じる。わざと近くにいる友人に声を大きくはりあげて、オ〜イ!って叫んだ。近くにいた友人は、ハッて顔して、私にけげんな顔で、何した?って聞く。シーッ!山のカムイ(熊)が近くにいるよ!ピーンときた。友人のTさんが、オーイ、ここに居るよ!って鈴を鳴らした。すると、300m位の地点に息をひそめていた熊が勢いよく、バリバリバリとすさまじい音を立てて、山の上に登っていく音がした。友人のTは帰ろうと言ったが、今逃げたら、しばらくは来ないよ。早くこの群生している山菜を採ろう、と、ゆっくりと採り始めると、大丈夫、本当に!って私の顔をのぞく。大丈夫よ。10分から15分でこの場所はひきあげるよ。ウン。Tもようやく安心して採り、沢山の山菜を荷物にして帰ってきた。

 ア〜ビックリしたね。ウン。でも、山のマナーを守らずに、私たちが話し込んで黙って入ったから悪いんだよ。そうだね。山に入る前に、今山に入るよって声をかけて、鈴を鳴らして、人間が居ることを知らせると、山のカムイ(動物)たちは1K先のまでも声を聞こえるというので、存在さえ教えれば、山のカムイ(動物神)達は、逃げるんだもの。足あととふんに気がついたからだけど・・・・・・遅かったら、食べられたかもネ。小さい頃教えられた通り、キチンとやったけれど、マンネリ化すると駄目だわ。カムイ達をおどかしてはいけないもの・・・・・・。

 反省しながらも、カムイ達が遊ぶ川などは沢山の山菜があるから、水もきれいだし、沢山頂いたことに感謝をして、山に向かって礼拝して、帰ってきた。

 五月中順頃からは、蕗を漬ける。蕗の場所を定めるためにも、蕗の群生する場所を探すのも、今は大変です。乱開発や山を削り崩して、牧場を造るため、木は切り倒され、以前にあった大木は消えて、一面青々とした牧場になっていた。山菜が少なくなるのは、木を切り過ぎたり、根から採る人もいるからなのだろう。

 蕗が青々と川岸を包むようになってる所を、通りかかる。六月になったら、蕗を漬けるのに、ちょうど良いわさ。蕗の根のしたから、しぼり水なのか、湧き出すように流れて、支流と合流していて、青さが、いっそう新鮮さが増す。

 太めの蕗の茎に歯形がある。マムシの噛んだ跡だ。そうか、もう子供を産む時期なんだ。気をつけなきゃ。蕗や木にも噛みつき、自分の歯を折る。腹の子を口から産むためである。だから、人間に噛み付いてでも折ろうとするのです。毒をもつこのマムシのお母さんは、可哀想だなーと、幼い頃から思った。だが、このマムシは、身体の弱い人の生命も助けてきた歴史もある。

 そのマムシを、私が風邪のひきやすいことから、ストーヴの上に焼いてあるのを、食べなさい、元気になるから・・・と言われて、食べたら、ガリッと口の中でウナギの香りがただよい美味しかった。こんな美味しい香りが、あのマムシとは考えもつかない風味だった。焼いてあるから食べられたが、生のを見たら多分食べられなかっただろう。今、思うと、ノドが治るの一言で食べたように思う。

 マムシは、今は栄養剤として人気があるけれど、四〇年も前に先祖は、イヤ、もっと前から知っていたんだろうなあ。嫁に来る前のとなりの娘は、四〇過ぎ位から、身体が弱く、その父親は、よくマムシを取って、そのキモを飲ませていた。マムシを取るのは危険なのに、子を思う親の愛情ってすごいなあーと思った。

  昔、私もY字の形の棒を持って、ヒモを持って、山にマムシを取りに行った。マムシの頭は六角なので、Y字の棒は首を押すと、先のとがった分が地面にささって動けなくなるうちに、Y字の棒の後ろからヒモで結ぶ・・・そして棒に結ぶ。すると棒に尾を巻きつけるけど、動きがとれなくなる。

                                                                つづく


春になったら、河川などに挿し木や柳の木など植えたり木の実の成る木を植え続けましょう。地球回復はまず森からです。
*トラスト運動を始めました。一人では無理でもみんなで力を合わせると、山をひとつひとつ残し保護できます。
「大雪山を世界遺産に」 大雪と石狩の自然を守る会からの報告

*私達の会とスタッフで大雪山に行ってきましたが・・・貴重な財源です。みんなで守りましょう。頂上からは富士山が見えると言う。

                              問合せ先    寺島  Tel 0166−65−1940

*他の国に胃袋預けて、平和はない(語れない)、自国での自給自足をめざすように。

地球〜世界各国でも至るところに、軍事国権力支配のなかで、いつも泣くのは弱者の立場ばかり。

 南の沖縄〜北はアイヌ、モシリ(北海道) ありと、あらゆるところに、人々が泣き、苦しみ病んでいる。地球が病んでる様に人間の心も病み!!軍事により、侵略し、やがて軍事により、ほろび去ろうとしている。文明〜軍事推進国は、やがて、我身に返る。

 今の時代は、人間の弱さは欲の限り、楽をする事や、便利と自由と権利のはきちがってしまった。

 自由とは自分勝手な我がままや自己主張や行動ではない。自由とは権利とは、自分に厳しく、自分の行動、主張に生き方に厳しく、自分を見つめて生きる事です。それが出来なくなり、管理される事にロボット化した民衆にも責任がある。

 もっと、民衆は、国を管理し、見守り、キチンと、意志表示をしましょう。ダメなものはノーと、言ってあげましょう。

                                            アイヌモシリ     アイヌ民族より

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