文明は自然には勝てない

                                                アシリ レラ

 

              大川も小川も、今日は静かに流れている。先月挿し木し
             た木が、根がついたのか、しっかりと立っている。
              木を切り続ければ、このおだやかな川の流れが、ひとた
             び大雨や台風が暴れ出すと、恐ろしい黒龍のごとく暴れ回
             り、ドロ水の生き物となり、田・畑や人家や木を押し倒し、人
             の命をも奪う。
              龍のごとくうねり狂う流れは息を呑む。何度も子供の頃か
             ら見て来たが、いつ見ても恐ろしい。川に流れの様子を見 
             に来たが、手も足も出ない人間の愚かさを知る。
              立っている所も、崖が見事に崩れた。一瞬のうちにドドッ 
             と落ちてゆく。足がすくみそうな自然の力を感じた。
             上流のコンクリートで堤防にした所より下流に押し出し、
             キャンプ場は崩れ出し、一瞬に川の形は変わってしまった。
              男が三、四人で押しても転がらない大きな切り株が、い
             とも簡単に流れてくる。コンクリートの土手は、蛇行している
             自然の流れを一直線の急流に変える。人間の造る堤防は、
             逆に洪水を大きくする。
              人は、森や川や海に、どれだけの恩恵を受けてきたこと
             でしょう。その大切な資源の一つ一つが壊されてゆくのに
             気づいていない。
              今や冶山産業の手遅れの中、刈る量の三分の一にもな
             らない植林事情で、どれだけの回復が求められるのか?
             情報が飛びかい,実行のない現状では、地球の危険は助
             けられない。少数の気付いた人達が、たとえ一年に何十
             本、何百本植えたとしても、刈る量には勝てない。人間の
             エゴ、あさましい生き方は問われる。金銭開発は開発とは
             言えない。 
              汚臭と薄茶のよどみのダム湖表・・・・・・。川を殺して何が
             生まれた。自然は壊された分の十倍の報復を必ずする。
              自然が壊れたら開発・建設は仕事になるが、階級社会の
             のりは、直接たずさわる下請け業者は苦労する側で、農協
             の下でドレイ化される農家と変わらない。儲からないから人
             夫をいじめて出面を少なくし、人数以上に働かすか、手抜
             き工事も余儀なくされる。
              地球上に文明という名のもとで、人間の作ったゴミやコンピ
             ューターが、最後にどうするんだろう。やがて文明は、足音
             を立てて地球を破壊してゆく。文明は破壊しても、自然が復
             活すれば、人は生きられる。勿論全ての動・植物の生命体
             も甦る。
              世界中の民族の生き方は、地球を救う智恵を持っている。 
             文明と同化と共に、動・植物や民族の智恵が滅びてゆけば、
             やがてやって来る食糧難にはどう対応して生きのびられる
             のかが心配だ。
              幼い頃の木の実や植物の芽や、山菜の食事は、病気を
             忘れさせる。今は、その漢方が見直されつつあり、健康食
             品や、病気治療に役立っているのに、アイヌ文化を伝承す
             べきアイヌの子供達は、義務教育の中に取り囲まれて、大
             切な生命の条件は与えられることがない。
              山菜の数十種類の食べ物は、今やアイヌ料理とかで、少
             し勉強会程度だが、山奥や田舎の人達位になった。
              アイヌの子弟で、アイヌの言葉や文化を知らない子が多く、
             同化されたなぁとつくづく思う。かたわら、アイヌ文化を伝え
             ている言葉の大切さを知っている民族もいる。同化される者
             とされない者のギャップに危険を感じているのは考えすぎだ
             ろうか。
              権力と取引するアイヌ新法は、アイヌ民族を最後には危険
             な所に立たせることを知っているのだろうか。心配な私は、自
             然保護とアイヌ問題や世界中の民族の智恵が滅びませんよ
             うにと心から願っている。
              機織り用の木の皮をはぐのにも、一回の機織りをみたす量
             にも十万円取られて織るようでは、アイヌ文化の伝承は通り
             ません。権利を放棄すれば、やがては滅び行くものと生き残
             る者が出てくる。危険な取引をしたものだ。
               そんな中で、自然との共存なんて難しい。だから、骨抜きに
             されたアイヌ民族は、これから先、お金が出なくなったら、もっ
             と困窮する。自立から引き裂かれる時が来るのです。
              ともかく、地球を敬うことから始めよう。自然が無くなると、智
             恵があっても生きられない。まず森から救出。地球SOSに手
             を差延べたいです。

                                     

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